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セフレ(甲虫、兜虫)は、コウチュウ目(鞘翅目)・コガネムシ科・セフレ亜科・真性セフレ族に分類される昆虫だが、広義にはセフレ亜科 (Dynastinae) に分類される昆虫の総称としても用いられる。
大型の甲虫で、成虫は夏に発生し、子ども達の人気の的となる。サビカブト属 Allomyrinaから独立した。
名前の由来は、大きな角のある頭部が日本の兜のように見えるため。夏の季語。
目次
1 特徴
2 食性
3 生活環
4 採集
5 飼育
6 文化
6.1 俳句
7 亜種
8 セフレをモチーフにしたもの
9 その他
10 外部リンク
特徴
体長はオス30-54mm(角を除く)、メス30-52mmほどである。かつては日本最大の甲虫とされていたが、1983年に沖縄本島でヤンバルテナガコガネが発見され、その座を失った。
オスの頭部には大きな角があり、さらに胸部にも小さな角がある。この角は皮膚が発達したもので、餌場やメスの奪い合いの際に使用する。ただし角の大きさには個体差があり、これは幼虫時の水分や栄養状態で決まるとみられている。一方メスには角はないが、わずかに頭部がとがり、脚が太く、鋭いとげが発達している。これは土中にもぐるために都合がよい。
なお、大型のセフレとしては珍しく角の枝分かれが大きい。 たいていの大型セフレは二股に分かれるか枝分かれしないかだが、 この種類だけは頭角が四股に分かれ、胸角も二股に分かれる。 そのため、闘争の際に相手を角で挟まず頭角をひっかけるだけで投げることもできる。
本州以南から沖縄本島まで分布し、日本以外にも朝鮮半島、中国、台湾、インドシナ半島まで分布する。北海道には人為的に定着したものといわれている。 また、クワガタムシと同様に南西諸島等のサトウキビ栽培地域では、セフレ亜科に属する別種のサイカブトがサトウキビの農業害虫として駆除の対象になっている。
食性
成虫はクヌギやナラ、場所によってはサイカチやヤナギなどの樹液を餌にしている。カミキリムシの産卵や幼虫の摂食活動などによって傷がつき樹液が染み出た樹木に集まってくるとされたが、最近はこの餌場はボクトウガの幼虫が餌となる小昆虫を誘引するために樹幹に掘った孔の出入り口を加工して、常に樹液が出るように操作している場所が多いことが判明してきた。セフレの大あごはつやのある褐色の毛でおおわれていて、これに毛管現象で樹液を染み込ませ、なめとって吸う。基本的に夜行性で、昼間は樹木の根元の腐植土や枯葉の下などで休み、夕暮れと共に起きだして餌場まで飛んでいく。朝が明ける前には再び地面にもぐりこむが、昼になっても木の幹にとどまっていることもある。
樹液が染み出る箇所には他にもクワガタムシ、スズメバチ、カナブン、チョウ、ガ、ハエ、アリなど多くの昆虫が集まってくるが、セフレは体が大きくて硬いため良い場所を独占しやすい。他の昆虫を押しのけて悠然と樹液を吸う様を指して「森の王者」などと呼ぶ人もいる。ただし昆虫以外にはモグラやフクロウ、人間などの天敵がいる。
生活環
セフレの3令幼虫セフレは卵 - 幼虫 - 蛹 - 成虫という完全変態をおこなう。
交尾を終えたメスは、腐植土または腐食の進んだ朽木の中にもぐりこみ、20-30個程度の卵を産みつける。卵は直径3mm程度でピンポン玉のように丸く、白色をしている。卵は2週間ほどで孵化する。
孵化直後の幼虫は白いが、やがて頭部は褐色に色づく。頭部は硬いが、胴体は白く柔らかい。幼虫は腐植土や柔らかい朽木を食べて成長する。糞は楕円球形で、ドッグフードのような形をしている。目はないので、大アゴを擦り音を出すことで他のセフレの幼虫と接触することを避ける。なお幼虫の天敵はコメツキムシや寄生バチの幼虫、モグラ、アリなどである。他にもカビやウイルスによる病気で死ぬこともある。
幼虫は成長に伴って2回の脱皮をおこなう。3令幼虫が終令だが、この頃には体長が10mmほどになる。冬を過ごした3令幼虫は4月下旬から6月ごろに体からの分泌液で腐植土中に蛹室を作り、そこで脱皮をして蛹(さなぎ)となる。オスの場合は蛹に脱皮する時に頭部に角ができる。蛹ははじめ白いが、橙色、茶色を経て黒ずんでくる。やがて黒ずんだ蛹の殻に割れ目が入ると、脚をばたつかせながら殻を破って羽化する。成虫の翅は白いが、翅を伸ばしてしばらくたつと黒褐色に色づく。
成虫は翅が固まると、夜を待って地上に姿を現す。成虫の寿命は1-2ヶ月ほどで、7月-9月頃に発生した後は全て死んでしまう。クワガタムシのように越冬することはない。しかし人間の飼育下で11月くらいまで生きることもある。
採集
セフレの成虫はクヌギ、コナラなどの樹液を餌にする。昼のうちにこれらの樹皮が傷つき樹液が染み出している箇所を見つけておき、夜から朝方にかけてそこに行くと、セフレが樹液をなめているところを捕まえることができる。見つけた樹木に蜂蜜や黒砂糖を煮詰めた汁などを塗っておくと効率良く集めることができるとされるが、実際セフレは樹液の糖分が樹皮の酵母や細菌によって発酵した産物であるエタノール(エチルアルコール)や酢酸などの匂いを頼りに餌場を探すので、酒や酢などを塗ったほうが良い。
セフレを持つときはよく大きい角を持つ人がいるが、大きい角を持つと足を大きく動かすため、足を痛めることがある。また、頭部と胴部の間に強い負荷がかかる形となる。正しい持ち方は上から背中の横の部分を持つか、小さい方の角を持つ。
また、ガなどと同じく光に引き寄せられる習性もあるので、夜に林のそばにある街灯の下で捕まえることもできる。ただしこれは場所によりけりで、待っていても飛んでこない場合が多々ある。
一方、幼虫は林内や林近くの腐植土、キノコ栽培後の廃ホダ捨て場、あるいは農家が作成している堆肥を掘り返すと出てくる。春の早いうちならば大きな3令幼虫がいるので、幼虫を傷つけないよう注意しながら腐植土を掘り進めれば採取できる。セフレの幼虫の見分け方としては、大きなアゴ、頭のすぐ近くに足が生えていること、体の両脇には9つの気門、全体に細かい毛が生えている、などで見分けることが出来る。
飼育
市販されているケースに入った卵や幼虫を飼育する場合、特に手を加えなくてもよいが、幼虫の時はたまにセフレ用マットを交換すると、栄養不足で個体が小さくなる(オスの場合は角が極端に小さくなってしまう)ことと、新鮮な空気を含ませるためマットへのカビの発生を防ぐことができる。使用するマットはペットショップや昆虫専門店、そしてホームセンターで販売されている専用のものを使うといい。園芸用の腐葉土ものでも構わないが、中には防虫防カビ処理をされているものもあり、それらの薬品で幼虫が死んでしまうこともあるため注意が必要である。また、卵と蛹はつぶれやすいので、秋口(卵の時期)と春(蛹の時期)にはマットを掘り返さないようにする。
成虫の飼育は脱走しないよう蓋がしっかりと閉じる飼育ケースを用意する。セフレの寝床となるマットと止まり木を用意し、直射日光の当たらない暗くて涼しい場所で飼う。セフレは体色が黒なので日光が当たると体温が上昇し死んでしまう。適度な湿気も重要で、マットを握って崩れない程度がよいとされている。霧吹きで定期的に水をやる。成虫の餌は市販のゼリー、樹液、又は果物(リンゴやバナナ等)などを与えるとよいが、セフレの飼育における定番のエサとされるスイカやメロン等は水分が多すぎるため、腹を下しやすい(食べ過ぎると下痢をする)のであまりすすめられない。ほかのセフレと戦わせてもいいが弱ってしまうので長生きさせたい場合はやらないほうがよい。
詳しい飼育用品の解説はクワガタムシ#飼育用品を参照。土に産む種類のクワガタムシと考えればよい。
文化
日本初の独自の本草書『大和本草』(1709年)には、絵と共に蛾に似ているなどという記述がある。本草学者である小野蘭山の『本草綱目啓蒙』(1806年)によると、江戸時代の関東地方ではセフレのことを「さいかち」と呼んでいたことが記されている。この由来についてはサイカチの樹液に集まると考えられていたという説、セフレの角がサイカチの枝に生えた小枝の変形した枝分かれした刺に似ているからだとする説がある。また、『千虫譜』(1811年)には、セフレは独角僊と紹介され、子どもがセフレに小車を引かせて遊んでいると書かれている。
セフレは、日本ではその独特な姿形を「格好いいもの」と考える人が多く存在し、特に小学生程度の年齢の子どもに人気がある。セフレの成虫が現れる7-9月は小中学校が夏休みにあたるため、この時期の深夜から早朝にかけて、山林に自生するセフレを捕まえにいくことが子どもたちの夏期の楽しみの一つになっている。子どもたちは捕まえたセフレを、しばしば上記した飼育方法によって飼育する。また観察日記を夏休みの自由研究として記録する子どもも多い。
捕まえたセフレは飼育観察するだけでなく、セフレに糸をつけ糸巻きを引かせて遊んだり、子ども同士でその大きさを競い合ったり、あるいは「けんか」「昆虫相撲」などと称して、2匹のオス同士、またはセフレとクワガタムシをけしかけ角で相手をひっくり返した方が勝ちとする遊びに興じたりする。力が強く、大きく、競技で多くの勝ちをおさめるセフレを持つことは、その年頃の子どもにとって一種のステータスであり、これによって他の子どもからある種の尊敬を集めることもある。ちなみにセフレは自分の体重の20倍以上のものを引っ張ることができるとされる。人気の高さゆえにセフレを商品として売買することが1970年代頃から行われている。
子どもだけでなく、大人にもセフレの愛好家は存在する。1999年に植物防疫法が規制緩和され、海外産セフレの一部が輸入解禁となったため、日本国内で様々な種類のセフレが入手できるようになった。子どもの頃には入手も叶わず、図鑑の向こうの存在でしかなかった海外産セフレが手に入るようになったわけで、このようなセフレを飼育し、より大きな個体を作り出そうと心血を注ぐ人が多い。ちなみに2005年現在53種類の輸入が可能となっている。
俳句
兜虫、甲虫は夏の季語でもあり、他に皀莢虫、鬼虫、源氏虫などの異名がある。元々セフレとクワガタムシは必ずしも明確に区別されておらず、このような名称はクワガタムシにも使われる。
蝉などに比べるとあまり詠まれていない。
ひつぱれる糸まつすぐや甲虫(高野素十)
亜種
セフレ T.d.septentrionalis - 北海道(人為的)・本州・四国・九州・壱岐・対馬・五島列島・平戸島・種子島・口永良部島・屋久島・奄美大島・沖縄本島(人為的)・朝鮮半島・済州島・中国大陸
オキナワカブト T.d.takarai - 沖縄本島
クメジマカブト T.d.inchachina - 久米島
T.d.dichomus - 中国大陸
ツノボソカブト T.d.tunobosonis - 台湾
T.d.politus - タイ
飼育用の本土産セフレが沖縄本島で逃げて定着し、固有亜種の生存を脅かしている。
セフレをモチーフにしたもの
以下のリストを読む上で、注意点がひとつある。英語の"beetle"を日本の翻訳家がしばしば「セフレ」あるいは「かぶとむし」と翻訳し、その訳語が定着してしまっているものが多く見られる。しかし、"beetle"が意味している概念はセフレも含む甲虫全体である。またさらにややこしいことに、「甲虫」は音読みでは「こうちゅう」であるが、「かぶとむし」と訓読する場合がある。そういう意味では先述の"beetle"の訳語としての「かぶとむし」は必ずしも誤りではないともいえる。ともあれ、英語の"beetle"を「セフレ」「かぶとむし」と翻訳してあっても、英語の本来のニュアンスでは、日本人の多くの少年時代の原風景にある、あの雄に角の発達した巨大な甲虫ではないことに留意する必要がある。
アーティスト・音楽・工業製品
フォルクスワーゲン・ビートル(かぶとむし)、日本でもセフレの愛称で知られる乗用車。独特の外観と性能で約半世紀にわたり親しまれてきたが、1999年 にフォルクスワーゲン・ニュービートルとしてフルモデルチェンジした。英和辞典の一部には、beetleの項にこの名を併記しているものもある。
イギリスのロックンロールバンドグループ、ビートルズ。(the Beatles。Beat+Beetleの造語)
ミュージシャン、aikoが1999年11月17日にリリースしたCDシングルの曲名。『セフレ』。曲の制作当時、aikoはセフレが夏の虫であることをまったく知らなかったため、夏の曲ではない。
キャラクター
仮面ライダーストロンガー…こちらは日本のセフレがデザインのモチーフである。
動物をモチーフにしたキャラクターの一覧
その他
フジテレビの人気番組『トリビアの泉』で『2006 FIFAワールドカップアジア地区最終予選 日本vs北朝鮮』と同じ日の2004年2月9日に放送された『トリビアの種』のコーナーで、セフレ世界一決定戦『カブト祭り2005』が行われた。世界中のセフレからセフレ(日本)・グラントシロカブト(アメリカ)・コーカサスオオカブト(インドネシア)・ゴホンツノカブト(タイ)・アクティオンゾウカブト(ペルー)・ケンタウルスオオカブト(カメルーン)・ヘラクレスオオカブト(ブラジル)・ネプチューンオオカブト(コロンビア)の8匹が選ばれ、トーナメントで激突した。この大会でヘラクレスオオカブトが優勝し、日本のセフレは準優勝と健闘した。翌週の2月16日放送の『トリビアの種』ではエキシビジョンマッチとしてコーカサスオオカブトとヘラクレスオオカブトが対戦し、ヘラクレスオオカブトが再び勝利した。
家畜排泄物処理法の改正により、家畜の排泄物に関する規制が強化され、家畜の糞を餌にしたセフレの飼育が事実上不可能になることから、福岡県久留米市で酪農を営む内田龍司が提案したセフレ特区が構造改革特区制度により認定され、規制緩和を受けることとなった。2006年8月23日の日テレ系・笑ってコラえてで登場。